初心者向けの山の条件って?山のグレーディング(難易度)を知ろう!

山の難易度について
初心者の方へのアドバイスで、「簡単な山から始めると良いよ」と言われることが多いと思いますが、実際に簡単な山とはどんな山なのか?どんな要素が山の難易度に影響を与えるのか?ということについて書いて行きたいと思います。山選びをするうえでも、登山計画を立てる上でも役に立つ知識なので是非頭に入れておきましょう。

山の難易度って何で変わる?

山の難易度と一言にいいますが、実際には「登山ルート難易度」というのが正解です。一つ山にも登山口がいくつかあり、どの登山口から登るかでも難易度は変って来るからです。

ではこの「登山ルートの難易度」は、どんな要素に影響を受けて変わってくるのでしょう?大きく分けると「体力的な要素」と「技術的な要素」の二つに分ける事ができます。

かなり大げさな例えですが、東京都の「高尾山」と北アルプスの「槍ヶ岳」を比べてみます。

高尾山は日帰りが可能ですが、槍ヶ岳は最低でも1泊しないと登る事が出来ません。歩く距離、時間、背負う荷物の量など比べると圧倒的に槍ヶ岳の方が「体力的な何度が高い」と言えます。

また、高尾山はスニーカーや中にはサンダルでも登る人もいるくらい、とても歩きやすい登山道が整備されています。いっぽう槍ヶ岳は、序盤は平坦な道が進みますが後半は急峻な登りが続き、ゴロゴロいた岩の上を歩き、最後には何本もの鎖と垂直に近い梯子が山頂に続く絶壁に待ち構えています。

足場の悪いところを歩く技術や、鎖や梯子使って岩場を登る技術や経験が槍ヶ岳登山には必要になるため、槍ヶ岳の方が「技術的な難易度が高い」と言えます。

では、それぞれをもう少し具体的に説明していきます。

体力面な要素

画像:谷川主脈ルート「山と高原地図」より

コースタイムと歩く距離

一般的な登山ルートのほとんどは、「コースタイム」と呼ばれている平均的な所要時間があらかじめ調べられていています。

よく観光地で見かける、パンフレットやおおきな地図の看板に書いてある「○○まで何分」っていうアレです。登山用地図の「山と高原地図」にはチェックポイント毎の平均所要時間が細かく記載されていて、登山口からルートに沿って数字を足していくと「ルートのコースタイム」が解るようになっています。

このコースタイムが長いほど歩く距離も伸びて体力を使う事になるので、「ルートの難易度」としては高くなります。

初心者向けの山
自分の体力と相談しながら、往復で2時間~3時間程度、距離で3~5キロ程度の山を選びましょう。

山の標高と標高差

次は、登る山の高さです。単純に標高が高くなるほど空気が薄くなるので、体力的にもキツくなります。

標高が上がると気圧も低下するので、実は私自身がそうなんですが体質的に気圧の変化に弱い方は2000Mを越えたあたりから頭痛を感じたり、呼吸に息苦しさを覚える事があります。これらの症状は急に高度を上げずに徐々に高度をあげる事で体が気圧に慣れて改善することが多いです。

また一般的に標高が100M上がると気温が0.6℃低下するといわれてますが、標高が高いほど気温の変化に対する対応力が必要になったり、急な雨や濃い霧など天候も変化しやすくなるので、難易度は高くなります。

また、登山口と山頂の標高差によっても体力の消耗度合いが変わってきます。例えば同じコースタイム2時間のルートでも、緩やかな登りの2時間と、急傾斜を登る2時間では圧倒的に後者の方が体力を使います。標高差が大きいほど体力的にキツくなります

例えばコースタイム5時間の標高差が大きいルートを歩いたときに、出だしの3時間はコースタイム通りにあるけたけど、後半の2時間はペースが落ちるという事も出て来ますので、計画を立てる際に標高差の確認をして大きい様であれば少し時間に余裕をもたせるなどの工夫も必要になります。

初心者向けの山
まずは標高1000M程度までの山、登山口から山頂までの標高差が500M未満の山を選ぶと良いでしょう。

※ただし、標高については真夏に1000Mの山だと30℃近くになるときもあるので熱射病になる可能性があります、逆に真冬に1000Mの山だと気温が氷点下になり装備が十分でないと低体温症の危険性も出てくるので注意が必要です。必ず天気サイトなどで山頂の天候や気温を調べてから山へ向かいましょう。

荷物の重さ

写真:水俣乗越への登り(北鎌尾根を目指して)

最後は自分が背負う荷物の重さです。
だいたい日帰りで5キロ~8キロくらいの荷物を背負う事になります。このくらいの荷物であればさほど荷物の重さに影響を受けることなく歩ける範囲です。

しかし登山ルートの中には1日では山頂までたどり着けない長いルートもあります。そんな時には宿泊用のテントや2日分、3日分の食糧も自分で担ぎます。テント泊の荷物は15キロ~20キロを超える事もあります。

また、途中に山小屋や水場が少ないルートでは途中で水を汲むことが出来ないので、最初から1日分の飲み水を自分で背負わなくてはいけないので、更に負担は大きくなります。

単純に荷物が重くなればなるほど体力を使うので「ルートの難易度」は高くなります。

初心者向けの山
荷物が少なくて済む、途中に「水場」や「山小屋」があり、日帰りで登れる山を選ぶようにしましょう。

技術面で影響すること

岩場、鎖場、梯子などの有無

写真:裏妙義 丁須ノ頭から旧国民宿舎への下りにて

いわゆる危険個所の有無です。登山道の途中で険しい箇所には鎖や梯子が設置されていますが、中には鎖があっても通過が難しい箇所もあります。人があまり入っていないルートだと壊れていたり、鎖や梯子自体が設置されていなかったりする場合もあり、難易度に大きくかかわってきます。

危険個所が多いほど通過するのに技術と経験が必要となり「ルートの難易度が高い」と言えます。

初心者向けの山
「山と高原地図」には、「鎖場」(上の写真のような補助用の鎖が必要なほど急傾斜箇所)、「ハシゴ」(鎖の代わりに梯子が掛けてある)など技術的に難しい箇所に注記がしてあるので、そういった箇所が無い山を選びましょう。

ルートファインディング

写真:谷川 湯檜曽川大倉沢の詰めにて(笹薮とガスでルートが解り難い)

「ルートファインディング」とは進むべき道を探すことをいいます。背丈ほどの笹原があったり、シカなどの獣道と登山道が交差してどちらが正解か解らなくなったり、逆に何もない開けた場所ではガスが発生すると方向が解らなくなったりもします。

ルートファインディングも、正しい道を探し出すという重要な登山技術の1つです。一般的に人があまり入っていない山の方がルートファインディングが難しくなる傾向があり、技術的に難しい山になります。

初心者向けの山
平日でも登山者が多いような人気のある山を選びましょう。人が多ければ道に迷う可能性も低くなりますし、登山者が多い山の方が分岐点での標識がしっかり整備されていることが多いです。

その他

登山の時期、天候

同じ山であっても登る時期によって難易度が変化します。一般的に夏よりも雪の降り積もった時期の方が難易度は上がります。また、春、秋は予想外の低温や降雪に見舞われることも少なくなく、低体温症のリスクがあります。真夏の熱中症にも注意が必要です。

山小屋の有無

登山道の途中に山小屋があるかどうかも何度に影響します。営業小屋があればゆっくり座って休むことも出来るし、水や食料品も手に入ります。途中に避難小屋があるだけで精神的な安心感も出て来ます。

まとめ

この様に、様々な要因がルートの難易度に影響してきます。
ここまでの「体力的な要素」と「技術的な要素」を、初心者向けの山の条件と一緒に表にまとめてみましたので参考にしてみてください。

要素初心者向けの条件
体力的な要素コースタイムと距離往復で2時間~3時間程度、距離で3~5キロ程度
標高と標高差標高1000M程度、標高差500M未満の山
荷物の重さ日帰り装備で5キロ~8キロ、水場、山小屋がある
技術的な要素危険個所の有無鎖場やハシゴなどの危険個所の無い山
ルートファインディング登山者が多く、道標がしっかりと整備された山

山のグレーディング表

ちなみに、初心者のうちはまだ使う機会がすくないかと思いますが、難易度を具体的に示した「山のグレーディング表」というものが、一部の県から発表されています。各県統一の基準で山または登山ルート毎にグレーディングしたものです。

参考までに掲載しておきます。

長野県のHPから抜粋したものを掲載します。

体力度

・グレーディング表では、目安となる宿泊数を体力度レベルと合わせて示していますので参考にしてください。

1~3 : 日帰りが可能
4~5 : 1泊以上が適当
6~7 : 1~2泊以上が適当
8~10 : 2~3泊以上が適当

技術的難易度

   登山道の状況や、登山者に求められる技術・能力によりAからEの5段階で評価しています。

技術的難易度登山道の状況登山者に求められる技術・能力
A概ね整備済転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い。道迷いの心配は少ない。登山の装備が必要
B沢、崖、場所により雪渓などを通過急な登下降がある。道が分かりにくい所がある。転んだ場合の転落・滑落事故につながる場所がある。登山経験が必要地図読み能力があることが望ましい。
Cハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある。ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある。ルート上に案内標識が不十分な箇所も含まれる。地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要
D厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある。手を使う急な登下降がある。ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い。地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要ルートファインディングの技術が必要
E緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する。深い藪漕ぎを必要とする箇所が連続する場合がある。地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある。

【用語解説】
■地図読み能力・・・地図を見て自分の位置を知ることができ、目的地へのルートを識別できる能力
■ルートファインディング・・・登山道のついていないところ、また分かりづらいところで、一番安全に通過できるルートを識別すること
■藪漕ぎ・・・笹や低木などが密生する藪を手でかき分けながら進むこと

各県のグレーディング表

県名サイトPDF
長野県「信州 山のグレーディングについて」
山梨県「山梨 山のグレーディングについて」
静岡県 静岡県「山のグレーディング」の公表
岐阜県「岐阜県山のグレーディング」について
群馬県「群馬県 山のグレーディング」について
栃木県「栃木県 山のグレーディング(栃木県山岳遭難防止対策協議会)」
山形県「やまがた百名山のグレーディング(やまがた山)」
四国「石鎚山系 公式WEBサイト」登山ルート一覧
秋田県「秋田県の山岳グレーディング」について
富山県「富山県の山グレーディング」
全国 百名山のグレーディング


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