アクティブインサレーションとは?
ミッドレイヤーには、Patagoniaのナノエアシリーズが発売されてから、各社から発売されたアクティブインサレーションがおすすめです!
アクティブインサレーションは、ソフトシェルに軽量で保温性の高い化繊の中綿を入れ、適度な保温性と適度な防風性を持たせ、登り始めから、テント就寝時、下山までずっと着たままで行動できる適応温度帯が非常に広いアイテム。
アプローチに時にはアウターとして、稜線近くで寒くなってきたら上からハードシェルを羽織ってインサレーションとして機能してくれる優れものです♪
具体的なレイヤリングついては、こちらの記事をご覧ください。
翔る!カモシカ☆Blog
公式サイトで比較!
長く使って来た、パタゴニアのナノエアシリーズと、最近使い始めたアークテリクスのプロトンを比較しながら紹介していきます。
お互いに同じ使い方が想定されますが、細かいところを見比べるとその方向性の違いが見えて来ました!
先ずは公式サイトに掲載されている情報から比較してみます!
公式サイト
公式HP:Patagonia
公式HP:アークテクリス
重量
ナノエア ジャケット/フーディー 318g/346g
プロトンLT ジャケット/フーディー 340g/ 375g
重量は、22g~29gほどナノエアの方が軽く仕上がっています。
アイテムの特徴
ナノエア
保温性、伸縮性、通気性を提供し、動いたり止まったりを繰り返す山での激しい有酸素運動でも継続的な着用が可能なジャケット。
活動中は余分な熱を逃し、停止中は保温性を維持するフルレンジ・インサレーションを採用。
プロトンLT
Proton LTジャケットには通気性のある断熱パッケージが装備されており、山岳地帯でのダイナミックなニーズを管理し、さまざまな高出力アクティビティの自動調整中間層として機能します。
どちらの紹介文もほぼ同じ事を言っていますね。
まとめると、「通気性と断熱性を兼ね備えていて、体の熱を自動調整してくれるので継続的に着ていることが出来る製品」といったところでしょうか。
耐久性・保温性・通気性
■ ナノエア
平織りのポリエステル100%製のシェルと裏地はメカニカル・ストレッチと強化した耐摩耗性、格別な通気性を提供。マイクロテクスチャーにより肌触りが非常に快適。DWR加工済み
画期的な60g/㎡・フルレンジ・ポリエステル100%のインサレーションは保温性と伸縮性を備え、シェルと裏地の素材とともに非常に優れたメカニカル・ストレッチと無類の空気透過(40CFM)を発揮して余分な熱を逃す
■ プロトンLT
Fortius™Air20フェースファブリックは、非常に通気性があることに加えて、比類のない耐摩耗性を備えており、摩耗試験で業界標準の60倍以上の耐久性があります。
Coreloft™Compact80合成断熱材(本体にはCoreloft™ Compact を80g/m²、フードには60g/m²)は、優れた伸縮回復を維持します。
耐久性
・ナノエア :「強化した耐摩耗性」「肌触りが非常に快適」
・プロトンLT :「業界標準の60倍以上の耐久性」
耐久性はプロトンLTがかなり強調して謳っているので表面生地の耐久性に関してはプロトンLTに軍配が上がりますが、肌触りに関してはナノエアの方が良さそうです。
保温性
・ナノエア :
「画期的な60g/㎡・フルレンジ・ポリエステル100%のインサレーション」
・プロトンLT :
「合成断熱材(本体にはCoreloft™ Compact を80g/m²、フードには60g/m²)
このフルレンジインサレーションとCoreloft™ Compactの保温性の優劣については詳しく解りませんが、単純に保温剤の量で比較するとプロトンLTの方が少し暖かそうだなと想像出来ます。
通気性
・ナノエア :
「画期的なインサレーション、シェル、裏地の素材とともに無類の空気透過(40CFM)を発揮」
・プロトンLT :
「表面生地は非常に通気性がある」と謳っていますがインサレーションの合成断熱材については通気性に関する記載がありません。
「無類の空気透過(40CFM)」と「非常に通気性がある」だけでは、実際にどんなものなのか想像がつかないので、自分なりに調べてみました。
ものすごく単純な実験ですが、生地に口を当てて「フーっ」と息を吹き掛け、生地の反対側に抜けてくる息を手で受けてみて、どのくらい抜けてくるのかを感覚で測ってみました。
結果としては、
・キャプリーンサーマルウエイト
⇒9割近く抜けてくる
・ナノエア
⇒5~6割程度
・プロトンLT
⇒4~5割程度
となりました。微妙な差ではありますが、「無類の」と謳っているナノエアの方が通気性は高いです。
この微妙な「差」が、2つのミッドレイヤーの性格を分ける違いの一つと言えます。
公式サイト情報比較まとめ
重量 ナノエア〇
耐久性 プロトンLT◎
保温性 プロトンLT〇
通気性 ナノエア◎
まとめてみると、互いの長所と短所が裏返しとなる結果となりました。
重量に関してはこの後詳しく書きますが、プロトンLTには裾のドローコードや、フーディーにはフードのドローコードが付いていて、ナノエアはすべて伸縮性のあるシャーリングなどで処理されています。
つまり、重量に関してもナノエアの方が軽いが、プロトンLTの方が機能性が高いと言えます。
これだけで最終的な結論は出せないので、もう少し深堀して文字や数値では見えない部分を比較していきたいと思います!
実物の写真で比較!
実際に使っているナノエアジャケットとプロトンLTジャケットの写真を比較して、2つの違いを見ていきます。


パタゴニア ナノエアジャケット アークテリクス プロトンLTジャケット
袖口の比較


ナノエアジャケットの袖 プロトンLTジャケットの袖
袖口はどちらもベルクロ止めではなく、伸縮性のある素材が使われています。違いは、ナノエアが手首の半分に比較的長めに伸縮性素材が使われていて、プロトンLTは手首にグルっと比較的短めに伸縮性素材が使われています。
どちらも腕まくりしやすいのですが、着た時のスッキリ感はナノエアの方良いです。
ナノエアの袖は先がシュッと細くなっている感じで、プロトンLTは袖がダボっとしていて先だけすぼまっている感じ。
カフの長い冬用のグローブをする時には、ナノエアの方が上から被せやすいです。
裾の比較


ナノエアジャケットの裾 プロトンLTジャケットの裾
ナノエアの裾にはドローコードは付いておらず、後ろ半分だけ伸縮性のあるシャーリングが施されています。
対照的にプロトンLTの裾にはドローコードが付いていて裾をキュッと絞ることが出来ます。
また、ナノエアは前と後ろが同じ長さなのに対し、プロトンは後ろの裾が少し長くなっています。
フードの比較


ナノエアフーディー プロトンLT フーディー
フードはサイズ的にどちらもヘルメットの下に被るタイプです。違いは、ナノエアにはドローコードが付いておらず、プロトンLTには付いています。
フードの作り自体はナノエアの方が小さめで、ベースレイヤーのフードに近い感じでそのままスポッと被ります。
プロトンLTはアウタージャケットのフードに近い感じで、頭にかぶっても若干の余裕があるのでドローコードで絞ってフィットさせます。
サイズ感の比較

両方ともMサイズ
2枚を重ねてみました。
肩幅、身幅、着丈、袖丈、細かいところで襟の高さもほぼ同じです。
違いはというと、

先ずは、袖のスタート位置が違って、プロトンの方が肩幅が広く設定されているのが解ります。

そして、わきの下のカッティングにも違いがあります。
プロトンLTは平置きすると脇の生地が余ります。
実はこの違いが結構大きくて、実際に着てみるとやはりナノエアジャケットは肩回りが少し窮屈に感じます。個人の体格によるところもありますが、ジャケットの作りとしてプロトンLTの方が肩回りに余裕のある作りになっています。
逆に言えば、ナノエアの方がスッキリとしたシルエットとも言えるので、どちらが合うかは実際に着てみるしかなさそうですね~。
ナノエアとプロトンLTの比較まとめ
ナノエア | プロトンLT | |
保温性 | 〇 | ◎ |
通気性 | ◎ | 〇 |
生地の強さ | 〇 | ◎ |
肌さわり | ◎ | 〇 |
重量 | ◎ | 〇 |
フード・裾のドローコード | なし | あり |
袖の作り | ◎ | 〇 |
カッティング | 〇 | ◎ |
比較の結果から分かったことは
ナノエア
余計なものが付いていない分、ミッドレイヤーとして中に着込んだ時に違和感がなく、重量的にも軽くなっていて、よりベースレイヤー・インナーに近い作りに。
プロトンLT
フードや裾のドローコードを兼ね備え、アウターとして使う時に使いやすい設計になっていて、よりアウター・ジャケットに近い作りになっています。
ということ。
ナノエアとプロトンLTどちらを着るべきか?
アウターとして使う時間が長いのか、インナーとして使う時間が長いのかによって使い分けるのが正解!
より軽くしたいならナノエア、より保温性・耐久性を求めるならプロトン。
個人的には、
・冬のミドルレイヤーには、作りがスッキリとしていて通気性も高くミドルレイヤーとして使いやすいナノエア。
・冬場のボルダーやフリークライミングでは、岩に擦れても安心でアウターとしても使える防風性のあるプロトンLTを使っています。
以上、ミドルレイヤーにおすすめの2着の紹介でした!
ウエア選びについて
私がウエアを選ぶときのテーマは2つ。
①機能性は落とさずに出来るだけ軽いもの
「ULハイク」、「トレラン系装備」など軽量化を突き詰めた装備が注目されていますが、そこまで突き詰めて軽くするというよりは、自分の山行スタイルに合わせて使いやすい物の中で、出来るだけ軽い物を選ぶようにしています。
②適応温度帯が広いもの
出来るだけ重ね着を減らして、1着で幅広い温度帯に対応出来るものを選ぶことで、荷物と着替えの回数を減らしたいと思っています。
自分がフィールドで実際に使っているアイテムを中心に紹介して行きたいと思います。
参考までに筆者の体格。
・身長 : 178㎝
・体重 : 73㎏
・日本サイズ : L~XL
・海外サイズ : M~L
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