ファーストレイヤー
寒いけど汗もかく。
雪山での「肌冷え」に対する備えは、快適に登山をするうえでとても重要な要素の一つです。
汗を素早く吸い上げてセカンドレイヤーへ発散することで、常に肌をドライに保ち冷えを感じさせない、更に着ているだけで暖かさを感じる保温性。
そんなベースレイヤーが雪山では理想的。
山行の途中では脱いだり着たりすることのないレイヤーなので、後から後悔しないように着心地、肌触り、気温に対する適応範囲の広さなど考慮して、自分に一番しっくり来るものを選びましょう。
ファイントラック ドライレイヤーウォーム
重 量:90g/96g
着用サイズ:XL
公式HP:Finetrack ファイントラック
素材とサイズ感
なじみの山道具屋さんでおススメで、沢登で初めて使ってからファーストレイヤーの定番になりました。
昨年までは「アクティブスキン」という商品名で売られていましたが、今シーズンからリニューアルして「ドライレイヤーウォーム」となり用途がより明確に。


生地も若干厚みが増し、メーカーによると1.5倍暖かくなったそうです。
自分自身寒がりなので、保温性がUPするのは大歓迎♪厚みが増したと言っても、ゴワゴワして邪魔な感じは全くありません。

上:旧アクティブスキン/下:ドライレイヤーウォーム
旧アクティブスキンとドライレイヤーウォームのサイズを比較。
両方ともサイズはXLで、首回りや肩回り、袖などはほぼ同じサイズでしたが、裾が4センチ程長くなり着丈が伸びました。
一番下に着るレイヤーは、動いているうちにズルズルとズボンから出て来がちなので長くなったのは大歓迎です♪

上:ドライレイヤーウォーム/下:アクティブスキン
もう1か所、肩の縫い目の場所も変わっています。
アクティブスキンが一般的なTシャツと同じ位置に縫い目がるのに対して、ドライレイヤーウォームは胸側に縫い目がずらされています。
荷物を背負った時などに縫い目が方に干渉しないような配慮です。
着心地
実際に着てみると、1枚でもジワッと暖かい感じで、ストレッチも良く効いていて動きが妨げられる事もありません。肌触りもリニューアルしてからガサガサ感が無くなり、比較的滑らかで気持ち良く着用出来るようになっています。
ファイントラックのベースレイヤーシリーズは、出来るだけ肌にピタッとした方が、その機能を発揮しやすいので全体的に細身な印象。Lサイズでも着れますが、少しタイトで肩回りが若干狭く感じます。
実際にフィールドで使ってみて
実際にフィールドで着てみると、運動をして汗をかき始めた時に濡れて体にまとわりついてくる感じや、汗が冷えてヒンヤリする感じがかなり軽減されるのが解ります。
これを使う前は、Patagoniaの旧キャプリーン1をベースとして使っていたのですが、雪山で急登を終え一息ついて背中の冷たさに気づくことが良くありました。
ザックを背負っているため背中側は汗が抜け難く、湿気が溜まります。
休憩で一度ザックをおろし、再び背負いなおした時に背中がヒンヤリ・・・。再び歩き出して体が温まるまで、しばらく背中が冷たい・・・。そんな経験をされた方も多いと思います。
ドライレイヤーウォームを着用した場合、同じような状況で生地を触ってみると湿ってはいる感じはしますが、保水している感じが明らかに少なかったです。
これは生地自体の撥水性が高いので水分を蓄えることなく、外のレイヤーへ逃がしてくれるため。
また程よい保温性も相まって汗冷え感が軽減され、より快適に過ごすことが出来るようになりました。
山での使い方
ロング袖
⇒冬場のレイヤリングや、沢登の時の1Stトレイヤーとして使っています。
半袖
⇒春・秋シーズンのクライミングなどでTシャツやロングTシャツの下に着ています。
程よい保温性で重ねて着ても暑くなりすぎず、逆に急に風が強くなったり、突然の雨で濡れた場合でもTシャツ1枚の場合と、ドライレイヤーを重ねていた場合とでは寒さの感じ方が断然変わってきます。
本当に薄くて軽い1枚ですが、1枚重ねるだけで一気にレイヤリングの対応温度帯が広がります。
ミレー ドライナミックメッシュ
重 量:110g
着用サイズ:L
公式HP:ミレー公式オンラインストア
ファイントラックのドライレイヤーシリーズより、メッシュの間隔が広く生地も厚めで、湿っても出来る限り肌に触れる面積を少なくする工夫がされています。
生地自体の水分を早く吸い上げて外へ逃がすという機能面も同じような感じ。
一番の違いは、着ている人を見た時のインパクトの大きさかも知れません。
温泉とかでちょっと恥ずかしいかも。。。
実際に何度か着て山へ行ってみましたが、先ず肌触りの面で違いを感じました。
ファイントラックがポリエステル主体なのに対し、ミレーはポリプロピレン主体の生地なので、若干ガサガサした感じを受けました。
また、単体での保温性という観点で見ると、メッシュが大きい分保温性はほとんどありません。
代りに、大きめのメッシュと厚めの生地のおかげで上に何かを羽織った時には、そこにデッドエアスペースが生まれ保温性が出てきます。
個人的には単体である程度の保温性が欲しいのと、肌触りの良さでファイントラックに軍配があがりました。
ACLIMA アクリマ ウールネットクルーネック
重 量:211g
着用サイズ:M
公式HP:フルマークスオンラインストア
ミレーの衝撃で盛り上がっていたのが懐かしくなった頃に登場してきたのがこちら。上記の2種類との大きな違いは、化繊ではなくウール主体の生地でメッシュにしているところ。
メッシュの大きさや、生地の厚さはミレーのドライナメッシュに近く、寒がりな自分的には、絶対コレ暖かくていいじゃん!と思い即購入!
しかし実際に雪山でこれを1stレイヤーにして行ったところ、意外と暖かさを感じる事が出来ませんでした。
ウールなので生地自体は暖かいハズなのですが、メッシュになっている分、肌に触る面積が小さく、メッシュ部分は特に暖かさを感じる事が出来ませんでした。
肌触りに関してはウールだけあって良好。
ただし、汗を大量にかいた時に他の2枚に比べて保水しやすく、メッシュ以外の部分から冷えを感じる事がありました。
個人的には使いどころが見いだせずにお蔵入りとなっています。
ドライレイヤーまとめ
保温性 | 通気性 | 撥水性 | 肌触り | |
ドライレイヤーウォーム | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 |
ドライナミックメッシュ | △ | ◎ | ◎ | △ |
ウールネット | 〇 | ◎ | △ | 〇 |
あくまで私個人の感想ですが、3種類のベースレイヤーを比較すると上記のような結果になりました。
適度な保温性、通気性、保水せずに肌冷えし難い、そして肌触りも悪くない。
ファイントラックのドライレイヤーウォームがおすすめです♪
ウエア選びについて
私がウエアを選ぶときのテーマは2つ。
①機能性は落とさずに出来るだけ軽いもの
「ULハイク」、「トレラン系装備」など軽量化を突き詰めた装備が注目されていますが、そこまで突き詰めて軽くするというよりは、自分の山行スタイルに合わせて使いやすい物の中で、出来るだけ軽い物を選ぶようにしています。
②適応温度帯が広いもの
出来るだけ重ね着を減らして、1着で幅広い温度帯に対応出来るものを選ぶことで、荷物と着替えの回数を減らしたいと思っています。
参考までに筆者の体格。
・身長 : 178㎝
・体重 : 73㎏
・日本サイズ : L~XL
・海外サイズ : M~L