雪山で実際に使っているボトムスを紹介
今回は冬の登山で使っているボトムスのアイテムレビューをお届けしたいと思います。
雪山でのパンツのレイヤリング
雪山でメインに使っているアイテムは以下の通りです。
レイヤリングしやすいパタゴニアがメインで、アイスクライミング用にBDの厚手のソフトシェル、テント用にウエスタンマウンテニアリングのフラシュパンツを履いています。
アイテム名(ブランド) | 重さ | |
ファースト | ドライレイヤーウォーム(Finetrack) | 85g |
セカンド | キャプリーンエアボトム(Patagonia) | 167g |
ミドル | ナノエアパンツ(Patagonia) | 278g |
シェル | ガルヴァナイズドパンツ(Patagonia) アルパインウインターパンツ(ブラックダイヤモンド) | 394g 610g |
ダウン | フラッシュパンツ(ウエスタンマウンテニアリング) | 180g |
※具体的な使用方法については、こちら↓↓↓
では、それぞれのアイテムを詳しく紹介していきます。
ファーストレイヤー
ファイントラック ドライレイヤーウォーム タイツ

素材・サイズ感
重 量:85g
着用サイズ:XL(178㎝73キロ)
なじみの山道具屋さんでおススメで、沢登で初めて使ってからファーストレイヤーの定番になりました。
昨年までは「アクティブスキン」という商品名で売られていましたが、今シーズンからリニューアルして「ドライレイヤーウォーム」となり用途がより明確に。


生地も若干厚みが増し、メーカーによると1.5倍暖かくなったそうです。
自分自身寒がりなので、保温性がUPするのは大歓迎♪厚みが増したと言ってゴワゴワして邪魔な感じは全くありません。
ファイントラックのベースレイヤーシリーズは、出来るだけ肌にピタッとした方が、その機能を発揮しやすいので全体的に細身な印象。Lサイズだとウエストがキツ目なのと丈が微妙に短く感じます。
着心地
実際に着てみると、1枚で着てもジワッと暖かい感じで、ストレッチも良く効いていて動きが妨げられる事もありません。
肌触りもリニューアルしてからガサガサ感が無くなり、比較的滑らかで気持ち良く着用出来るようになっています。
実際にフィールドで使ってみて
実際にフィールドで着てみると、運動をして汗をかき始めた時に濡れて体にまとわりついてくる感じや、汗が冷えてヒンヤリする感じがかなり軽減されるのが解ります。
ドライレイヤーウォームを着用した場合、雪山の急騰を終えて汗だくの状態で、生地を触ってみると、湿ってはいるものの保水している感じは明らかに少なかったです。
これは生地自体の撥水性が高いので水分を蓄えることなく、外のレイヤーへ逃がしてくれるため。
また程よい保温性も相まって汗冷え感が軽減され、より快適に過ごすことが出来るようになりました。
セカンドレイヤー
パタゴニア キャプリーンエアボトム

素材・サイズ感
重 量:
167g
着用サイズ:
M(178㎝73キロ)
生地:
18.5ミクロン・ゲージのロフトのあるウールで構成された、5.6オンス(190グラム)・RWS認証済みメリノウール51%/リサイクル・ポリエステル49%のシームレス・ボックスステッチ・ニット
動きやすくて、薄くて、軽くて、汗抜けが良くて、そのうえ暖かいです。
全ての秘密はウェア全体に縫い目のない3D構造の生地にあります。

生地を表から見るとウール混の生地がフワッと編まれているのが解る

生地を裏から見ると網目の間が空き明らかに抜けが良さそう
パタゴニア独自の織り方で仕上げた生地は、空気を含む量が半端なくて着るとめちゃくちゃ暖かく感じます。
サイズはMサイズを履いています。
あまり大きすぎてもダブついてしまうので、いつも通りのサイズ感で良いと思います。
着心地
基本的にはドライレイヤーの上に履いていますが、直接履いてもチクチクしたりせず、肌触りも良いので、ゲレンデでのアイスクライミングなどそこまで多く汗をかかない場面では、素肌に直接履くこともあります。
しかも良く伸びるので、化繊のベースレイヤーにありがちな締め付け感がありません。かと言って伸びてダボダボという訳でもなく、程よいフィット感で足を包んでくれます。


ウエストは伸縮性のあるウエストバンド、裾はリブ編みになっていて適度にフィットします。
毛玉はとても出来やすいです。
まあ、インナーなので気にならないと言えばなりませんが・・・。
実際にフィールドで使ってみて
キャプリーンエアが登場する前のレイヤリング
ドライレイヤー
R1パンツ
厚手のソフトシェルパンツ
ハードシェル
ダウンパンツ
アプローチは、ソフトシェルパンツ、寒くなったり風が強くなったらハードシェルを重ねて、それでも寒いとき(-10℃~-15℃以下で強風)はダウンパンツを履いて行動したこともあります。
下山時は、このままだと暑いので途中でダウンパンツを脱ぎ、ハードシェルを脱ぎつつ下山していました。
キャプリーンエアを使うようになってからのレイヤリング
ドライレイヤー
キャプリーンエアボトム
ナノエアパンツ
厚手のソフトシェル 又は 薄手のハードシェル
アプローチから稜線まで、ほぼ脱ぎ着はしなくなりました。下山時に暑いとシェルを脱いでナノエアで下山するくらいです。寒くてダウンパンツを重ねた事は今のところありません。
保温性が高くなったのにも関わらず、オーバーヒートもし難いのは各レイヤリングアイテムの進化によるところ。
レイヤリングも含めておすすめのアイテムです!
ミドルレイヤー
パタゴニア ナノエアパンツ

重 量:278g
着用サイズ:M(178㎝73キロ)
素材・サイズ感
重 量:
278g
着用サイズ:
M(178㎝73キロ)
シェルと裏地:
4方向に伸縮するメカニカル・ストレッチ平織りの1.7オンス・ポリエステル100%(リサイクル・ポリエステル87%)耐久性撥水加工済み。
ウエストバンドと裾:
耐裂性を備えた7オンス・リサイクル・ポリエステル79%/ポリウレタン21%のストレッチニット
インサレーション:
4方向に伸縮する60グラム・フルレンジ・ポリエステル100%(リサイクル・ポリエステル40%)
メカニカルストレッチ平織りというと中々イメージが湧きませんが、平たく言うと撥水加工のされた布団生地です(笑)
綿の様な優しい肌さわりで、寝間着や部屋着くらいリラックスしたフィット感。
シェルもインサレーションも適度な防風性と、通気性を兼ね備えているので、雪山のアプローチではそのままアウターとしても使えます。
サイズは、Mサイズでジャストサイズです。
実際にフィールドで使ってみて
雪山に登るときは必ずと行って良いほど履いています。
テント泊山行の時には、アプローチのアウターとして、稜線に出たらハードシェルのインサレーションとして、テントの中ではダウンパンツの中にととにかくずっと履いています。
アプローチの時は、適度な防風性があるので多少の風では寒くならず、適度な保温性でオーバーヒートせずに歩き続けられます。
ハードシェルを上から履けば、インサレーションとしてその保温性をフルに発揮してくれます。
11月~12月前半や残雪期など比較的暖かい雪山では、キャプリーンエアを履かずに、ドライレイヤー+ナノエアパンツ+シェルの組み合わせでも十分に暖かいです。
山登りだけでなく、バックカントリーやゲレンデでのスキー、旅行の時のインナーズボンとしても使えます。
冬場にこれが1本あれば、ボトムのインサレーションは事足りてしまうので、1本持っていて損はしないアイテムです!
シェル
パタゴニア ガルヴァナイズドパンツ

素材・サイズ感
重 量:
394g
着用サイズ:
M(178㎝73キロ)
シェル:
ジャージーニットの裏打ちを施した、3層構造のストレッチ織りの4.4オンス・50デニール・リサイクル・ポリエステル88%/ポリウレタン12%。DWR(耐久性撥水)加工済み
3層のハードシェルですが、初めて履いた時のストレッチ性に驚きました!
ハードシェルと聞くと、ガサガサしてて一切伸びない「ザ・雨合羽」見たいなのを想像していましたが、とても薄くしなやかでストレッチが効いています。
サイズはMサイズで、中にナノエア、キャプリーンエアを重ねて履けるサイズ感です。
実際にフィールドで使ってみて
広河原左俣などアイスクライミングのルートで何度か使いましたが、ストレッチが効いていて足上げもしやすく、細身のカッティングで足元も見やすく快適でした。

広河原左俣の詰めにて(パンツはちょっとしか映っていませんが・・・)
生地はハードシェルとしては、かなり薄い部類に入りますが、ナノエア、キャプリーンエアと重ねて使っている分には、しっかりと風さえ防いでくれれば寒さは問題ありませんでした。
一つ気になったというか、当たり前のことですが、アイゼンが引っかかると盛大に裂けます(涙)
ゲイターも付けていたのですが、ハイステップで岩に登ろうとしたときに膝の内側辺りに爪が引っかかって裂けてしまいました。
まだ2回しか履いていない時の出来事だったので、めちゃくちゃショックでした。すぐさまパタゴニアの修理にだして直してもらいましたが、その後はアイスクライミングの時には出来るだけ厚手のソフトシェルを履くようにしています。

縫い目が入っている所が、パタゴニアで修理してもらったところ。
サイドポケットにパッカブルになるので、ナノエアで行動していて寒くなったらサッと取り出して履くなんて使い方もやりやすかったです。

ソフトシェル
ブラックダイヤモンド アルパインウインターパンツ

素材・サイズ感
重 量:
610g
着用サイズ:
M(178㎝73キロ)
表生地:
エベレストナイロン/スパンデックスダブルウィーブ、
裏地:
裏起毛、ワープストレッチ(310g/m2)
アイゼンで引っ掛けても大丈夫な厚手のソフトシェルです。
さすがブラックダイヤモンドという感じの丈夫な作り、そして重い(笑)
表地は耐摩耗性の高いナイロン素材、裏地は起毛したストレッチ素材が使われていて、暖かく、よほどの強風でない限りはシェルとして使用して問題ないです。

ウエストは、スナップボタン二つとジッパー。
ラダーロックのウエストベルトが付いています。

ポケットはハンドポケットが左右に2つ、左右のサイドに2つ、お尻右側に1つと豊富♪
特に左右のハンドポケットは500mlのペットボトルがすっぽりと入る大きさ!
雪山は何かと小物も大きくなるので、大きいポケットはポイン高いです!

サイドポケットはジッパー付きで、ペットボトル半分くらいの容量。

内側は起毛素材で暖か♪

後ろのポケットはジッパー付きで、ペットボトル2/3程の大きさ。

裾にはドローコードが付いていて絞れる仕様に。
実際にフィールドで使ってみて
アイスのゲレンデで何度か使いました。
そしていつも通り何度かアイゼンを引っ掛けましたが、跡が残る程度で裂けたり、大きく穴が開くようなことはありませんでした。
ソフトシェルなので、ストレッチも効いていて足上げや、大きな動きにも追従してくれます。
気温-6℃ほどで、結構風があった日(おそらく風速10~15M程)でも、中にドライレイヤー+キャプリーンエア+ナノエアと重ねている分には、風が抜けて寒い感じはしませんでした。
むしろ続けて登っていると少し暑い位で、雪山用のシェルとして十分使えるパンツです。
ダウンシェル
ウエスタンマウンテニアリング フラッシュパンツ

重 量:180g
着用サイズ:L(178㎝73キロ)
素材・サイズ感
中綿:
850+ フィルパワーグースダウン
ダウン量:
57g(Mサイズ)
シェル:
リップストップ ナイロン
ゴア® ウィンドストッパー®(ヒップ)
長いこと、ナンガのポータブルダウンパンツSPDXを使って来たのですが、だいぶヘタって来たので買い替えようと思ったところ、いつの間にかリニューアルしていて、ダウン量やFP値は変わらないのですが重量が275gと100gアップ(涙)
うーん、どうしようと思いながら探したところ見つけたのが、フラッシュパンツです。
ナンガの旧ポータブルダウンパンツ
FP値:860FP
重量:160g
ダウン量:50g
ポケットなし、オール10dナイロン
お腹は紐締め
(20dバージョンもある様で、こちらは重量220g)
ナンガの新ポータブルダウンパンツ
FP値:860FP
重量:275g
ダウン量:50g
ポケットあり、膝にストレッチ素材
お腹は紐締め
フラッシュダウンパンツ
FP値:850FP+
重量:180g
ダウン量:57g
ポケットなし、お尻がゴアウインドストッパー
お腹はアジャスター付き
フラッシュパンツは、旧ポータブルダウンパンツとほぼ同じスペックでダウン量が7g多いので、実質13g差。
並べてみても、ロフト感はフラッシュパンツの勝ちでした。
サイズは海外サイズなので、日本よりワンサイズ大きめ。
普段、海外サイズはMを履きますが、下に色々と履くとLサイズで丁度良かったので、Lサイズを使っています。
実際にフィールドで使ってみて
八ヶ岳でのテント泊に使いましたが、文句なく暖かいです♪
ポータブルダウンパンツ(SPDX)に比べ、若干ですが暖かい様な印象すら受けました。
そして、お尻のウインドストッパー素材が良い感じに機能してくれます。
テント泊をしているとジャケットや靴に着いた雪の塊が、いつの間にかテントの中で落ちて、大体座っているお尻の下が一番低いので、そこに溜まります。
おそらくそれが原因で、いつの間にかお尻が濡れている事が何度かあったんですが、これなら安心して履いていることが出来ます。
ドライレイヤーウォーム
キャプリーンエアボトム
ナノエアパンツ
フラッシュパンツ
のレイヤリングで夜中(-12℃ほどで風は5mほど)に星を撮りに外に出ましたが、30分~40分位は問題なくウロウロしてても問題なく過ごせました。
軽くて暖かくテント用のダウンとしておすすめのパンツです♪
まとめ
それぞれのアイテムを紹介してきましたが、秋や残雪期などは気温に応じて
・ドライレイヤーに、キャプリーンエア+ソフトシェルパンツ
・ドライレイヤーに、ナノエアパンツ+ソフトシェルパンツ
などの組み合わせもありです。
この組み合わせを持っていれば、秋口から春まで対応できますので、参考にしてみて下さい。
各アイテムの具体的な使用方法については、こちらの記事をご覧ください。