今回は登山仲間の探し方、集め方について自分の経験を交えてソロ登山、SNS、登山サークル、講習会、クライミングジム、山岳会、それぞれのメリット、デメリットを紹介します。
ソロ登山・単独登山をする

一人で気ままに登れるのがソロの良いところ
私が登山を本格的に始めたのは2010年の6月。
転職の合間に行った1ヵ月間のネパール旅行で歩いたエベレスト街道からの山の景色に魅了されたのがキッカケです。
仲間探しと題しましたが、登山を始めて最初の4年程はほとんど一人で登っていました。
サービス業に就いていたため、休みが平日不定休で人と予定を合わせるのが、難しかったのも有りますが、一番の理由は単純に「一人で気ままに登りたかったから」。
毎日仕事で疲れているはずなのに、山に行くと不思議と元気に歩けて楽しくて、山から帰って来た次の日は山登りで疲れているはずなのに、気持ちが軽くて仕事も楽しく感じる。そんな毎日の繰り返しが心地いい時期でした。
その頃は仲間を探そうという考えは一切なく、他の登山者との繋がりは、SNS(当時はmixiがメイン)やブログに書いた登山日記のコメントのやり取り程度でした。
ソロで経験した怖い思い

3年目の夏に登った木曽駒ケ岳で、無理をして山岳救助隊のお世話になった経験があります。
自分の限界を知らずに無理な日帰りの山行計画を立てたために、暗くなり始めた下山路で過呼吸になり全身が痺れて動けずにその場に1時間ほど蹲ってしまいました。
過呼吸になったのが初めてだったので、自分が過呼吸になっているんだという事も解らずにただただ、苦しさと恐怖に耐えました。
その後、少し痺れが落ち着いたところで自分で119番に連絡をして真っ暗な登山道で4時間ほど救助を待ち、救助隊の助けを借りて下山、念のためと病院まで連れて行ってもらい事なきを得ました。
この出来事がきっかけで、すぐに「山仲間を作ろう!」と思い立ったわけではありませんが、この時に誰かと一緒に登っていれば過呼吸を初期症状で抑えられたかも知れないし、そもそも無理な山行計画を立てた時点でストップがかかったかも知れません。
一人で登る事の怖さや、危ないところを実感した出来事でした。
単独登山の良いところ
・計画から、実行まで一人で好きなように決められる
・スタート時間も、休憩時間も、就寝時間も、じぶんの自由
・好きな時に立ち止まり、好きな時に写真を撮れる
・他の登山者との会話がしやすい
・自分の力でやり切った感が得られる
・地図読みや状況判断力の力が付く
とにかく、すべて好きに歩き回れるのがソロ登山の良いところ。
単独登山のデメリット
・計画から実行まで自分で判断しなくてはいけない
・人からの注意やアドバイスを得る機会が少ない
・怪我の応急処理や助けを呼ぶなど思わぬアクシデントへの対応力が低い
・女性の場合男性に絡まれやすい
・交通費が割り勘できない
・人と感動や達成感を共有することが出来ない
ソロ登山をするために
身の丈に合った山行計画や、遭難保険、いざという時の家族への連絡体制などしっかりと安全面を考えた準備をしたうえで出かけましょう!でも仲間と共有する楽しみを得たいなら、やっぱり仲間探し!
SNSで登山サークルに参加する

Facebookのオフ会
山登りを始めて4年が経ったころ、世の中にFacebookが浸透し始め、FB内で「チーバ会」という地元千葉の山好きが集まるグループが発足。八ヶ岳や北アルプスから遠く離れた千葉県にも沢山の山好きがいる事を知りました。
ちょうどこの頃、そろそろバリエーションルートやロープを使ったクライミングをやってみたいと考え始めていたのですが、一人では何から始めて良いのか解らずにいたので、良い機会だと思い「チーバ会」のオフ会に参加しました。
全部で50人くらい集まったメンバーは、大半が自分と同じくハイキングやトレッキングを楽しむ方で、クライミングや山スキーなどを楽しむ方は数名でした。
その中に、Mさんという、奇跡的に家が車で10分ほどの所に住んでいて、歳も近く、しかもクライミングに興味があるという方が居て、すぐに意気投合。
後日一緒にクライミングジムへ行ったり、外岩の講習を受けにいったりと自分にとっては初めて「山仲間」と呼べる存在になり、今でも毎月の様に山へ出かけています。
チーバ会自体は、トレッキングやハイキング主体の会だったため、イベントに数回参加しましたが、その後はあまり関りが無くなってしました。
SNSオフ会の悪い噂
チーバ会では非常に素敵な出会いに恵まれましたが、とあるグループのオフ会に参加した山仲間は、お酒が進むと男性から突然「この後二人でどうですか?」と声を掛けられたそうです。
後から他の山仲間からも同じような話を聞き、どうやらこの会は表向きは山好きの集まりですが、中身は男女の出会いを目的とした会だったようです。
他にも、儲け話を持ち掛けられたとか、マルチ商法の勧誘を受けたとか、ありがちなパターンもあるようですので、そういった点には注意が必要です。
SNSで山仲間を探すメリット
・近くに住んでいる同じ趣味を持った人に出会える
・地元にある登山サークルなど気軽なグループを探せる
・同じ趣味、目的を持った人が集まるイベント情報も手に入る
・ハイキング、トレッキング、沢登り、アイスクライミングなどカテゴリーを絞った仲間探しが出来る
SNSでの山仲間を探すデメリット
・行って見ると出会いが目的だったり、ビジネスの勧誘だったりする場合がある
・SNSでのやりとりだけでは互いの力量が解らない
・緊急連絡先の交換などを含め、互いを知らないまま山行に行きがち
・あまり山仲間として長続きせず単発または数回の山行で終わるパターンが多い
SNSでの仲間作りはお手軽♪
その一方で、互いを良く知らないまま山に出かけてしまったり、いざという時に緊急連絡先が解らないなど、危険な要素も含んでいます。
SNSは、あくまできっかけとして使うのが良いと思います。
SNS上だけのやりとりで山に行くのは危険です。山では互いに命を預ける場面もあれば、力量の差が思わぬ事故を呼ぶこともあります。
まずはオフ会などで出会ってから、近所のジムに行くとか、地元の低山ハイクに誘うなど、実際に会って互いにある程度の信頼関係を築くことが大事です。
ショップの講習会に参加する

山道具店主催の講習会に参加
チーバ会のオフ会に参加してから数日後、会に出席していた山道具店のスタッフさんからSNSを通じて「クライミングの講習会のお誘い」を頂きました。
ずっとロープを使えるようになりたかったので、願ってもないチャンス!早速、Mさんを誘って講習会に参加しました。
この日の参加者は10名。
なんとこの10人中、6人が今も山仲間として一緒にクライミングをしています!
この講習会は、「クライミング講習」という普通の登山よりも間口の狭い講習会だったので、より志向の近いメンバーが集まったことで、長く付き合える山仲間が出来ました。
同じ時期にロープワークを教わって、今でも登れるグレードを競いながら楽しく遊んでもらっています♪
講習会にはそれなりにお金がかかる
技術も得られて、登山仲間も出来て良いことづくめの講習会ですが、忘れてはいけないのは有料であること。
講習の内容や、主催者によって料金は色々ですが、平均するとこんな感じ。
登山入門講習(机上講習・半日講習) | 5000円前後 |
山歩き講習(地図読みなど・実技講習) | 8000円~1万円前後 |
クライミング入門(ロープワークなど) | 1万円~1万5千円前後 |
雪山講習(アイゼンワークなど) | 1万5千円~2万円前後 |
ガイド山行 | 3万円~ |
見ての通り、内容が上級者向けになるほど金額も上がって来ます。
雪山、クライミングとなると一般登山に比べて参加者も減りますし、受講者の安全を確保しながらの講習となると、それなりのリスクを負った上での開催となるので、おのずと料金は上がります。
これに加えて、交通費もかかって来るので、しっかり講習を受けて元を取らないと損ですね。
【メーカー】
登山、雪山、クライミングと様々なイベントが開催されています。
【大手ショップ】
初心者向けの机上講習から、バックカントリースキーまで様々なカリキュラムがあります。
【地元ショップ】
私がお世話になっているお店。地元で人気のお店なので近い方は是非覗いてみて下さい。
【ボルダリングジム】
山仲間が通っているジム。特にクラッククライミングの講習に特化していて濃い~講習が魅力。
【ガイド】
私がクラックを習う時にお世話になったガイドさん。とにかく細かく丁寧な指導で確実にレベルアップ出来ます。登山体験からアイスクライミングまで幅広く対応してくれます♪
その他、地元の山道具店、クライミングジムでも講習会を行っている所が沢山あるので、探してみて下さい。
講習会で山仲間を探すメリット
・お金を払ってまで学びたいという登山に対する意識が高い人があつまる
・学校で言う同級生の様なかたちで仲間意識が芽生え、山仲間になりやすい
・その講習会の卒業生などとの繋がりも生まれる
・山仲間として長く付き合える人に出会える確立が高い
講習会で山仲間を探すデメリット
・それなりに費用がかかる
・近場に住んでいる人と出会える可能性は低め
・意識の差がありすぎてついて行けないことも
講習会への参加は一番おススメ!
費用は掛かりますが、山に対する真剣度が高く、向上心の高いメンバーに出会えます。講習で習ったこと皆早く実践したいので、その場で次の山行の約束をするメンバーもいました。末永く付き合える仲間に出会える確立が高いです。
クライミングジムに通う

地元のボルダリングジムに通う
ちょうどロープワークを習い始めたのと時期を同じくして、世の中のボルダリングブームでついに地元にもボルダリングジムが開店!
こちらもさっそくMさんと一緒に通い始めました。
私は仕事の関係で、半常連くらいのペースでしか通えませんでしたが、Mさんは週3~4回通う常連に。このくらい通っていると、特に何をするわけでもなくいつの間にか仲良くなるもの。
いつの間にか常連メンバーと誕生会や忘年会を開くほどの仲に。また、外のボルダーや一般的な登山にも行くことがあったりと、Mさんにはかなりの山仲間が増え、今でも変わらず付き合いは続いています。
週に3~4回通うのが大変だった
地元にジムが出来たと言っても、実は職場から車で40分、家からでも20分位かかる場所だったので、やはり休みの日にしか通うことが出来ませんでした。
とにかくクライミング力を上げたい為に、行けるときは必ず行くようにしていましたが、それでも行けて週に1回、2回行けたらラッキー♪位でした。
そのくらいだと、中々常連さんの輪には入る事が出来ず、山仲間を作るという意味では難しかったです。
唯一、Mさんを通じて知り合ったジムの店長とは、今でもパートナーを組んでマルチピッチを登ったりしています。
ジムで山仲間を探すメリット
・週に3回~4回通えるのであれば常連メンバーと仲良くなりやすい
・ジムを中心に近所に住んでいる可能性が高い
・時間はかかるが信頼関係も築きやすい
・登攀力の高い仲間が出来るのでクライミング仲間を探すには◎
SNSは30代~40代、講習会は30代後半から50代が中心。それらに比べジムは小学生~60代まで年齢層が幅広いのも特徴。
ジムで山仲間を探すデメリット
・ボルダリングジムだと一般的な登山や雪山をやる人は少ない
・やはりジムの利用料はかかる
・通勤、通学途中や自宅から近い距離にジムが無いと通うのがつらい
・近所に住んでいる可能性が高いので女性は付きまとわれる可能性も
ジムに通うのもおススメ!
週に3~4回通える環境であれば、ジムに通って仲間を探すのもおすすめです。時間はかかるかも知れませんが、長く付き合うことで信頼感も増して、山に行く場合でも安心感が生れます。
山岳会に入る

地元の山岳会を探すも・・・無い(涙)
何度か講習会に通ううちに、費用面を考えると山岳会に入った方が、本格的に技術を教わりつつ、山仲間も出来るんじゃないか?と考える様になり、地元で活動している山岳会を探してみました。
うーーーーーんっ、無いっ!!!
一番近くにあった山岳会は、ハイキングやトレッキングがメイン。
電車で1時間半ほど行った都会にある山岳会はかなり本格的に活動していて興味がわきましたが、月に一回の例会(平日の夜)に通うことなど考えると、現実的ではないなと諦めました。
自分に合った山岳会を探そう
私のクライミング仲間にも、何人か山岳会に所属しているメンバーが居ます。
話を聞くと、山仲間が出来るのはもちろん、先輩から技術面を多く教われること、もしもの時には家族への連絡など初期対応に動いてもらえること、ロープなど会で所有している道具を使えることなどメリットは多いとのこと。
その反面、月に1回の例会への参加や、山行の度に計画書(同行者の個人情報も求められる)を提出しなくてはならなかったりと、会で行う山行には休みが合えば必ず参加しなくてはならなかったりと、何かと制約が多くなることもあります。
また会自体の山行内容が一般登山メインで、クライミングや雪山をやりたいのになかなか実現しないという話も聞きます。会のレベルや雰囲気など自分に合った山岳会を選ぶことが重要です。
山岳会で山仲間を探すメリット
・登山技術はもとより、レスキュー技術、雪上訓練などでスキルアップ出来る
・一般登山道、百名山ハンター、クライミング、沢登り、様々なジャンルをメインにする人と出会え、自分の世界が広がる
・特にクライミング、沢登り、山スキーなどもともとの人口が少ないジャンルををやりたい場合に有効
・本当に山が好きな人の集まりなので思う存分山の話が出来る
山岳会で山仲間を探すデメリット
・それなりに上下関係がある
・例会や、会の山行への参加
・登山計画書の事前提出と同行者の個人情報の記載
・気軽に登山に行けなくなる
山岳会の縛りをどうとるか
裏を返せば安全性を高める仕組みなので、むしろ積極的に利用する価値があり。とにかく山の世界にどっぷり浸かりたい方にはおススメです。
まとめ
ということで、今は講習会で出会ったメンバー、ジムで出会ったメンバーと中心に山へ出かけています。積極的に仲間を作ったというよりは、自分がやりたい方向へ進んで行ったら、いつの間にか集まっていたという感じです。
最初はソロがメインでしたが、仲間と登るようになってからは一人だと寂しく感じる様になりました。たまに一人で登る事もありますが、途中で寂しくなったり(笑)
それぞれメリット、デメリットをまとめてみました。
手軽さ | 費用 | 親密度 | |
ソロ | ◎ | △ | × |
SNS・サークル | 〇 | ◎ | △ |
講習会 | 〇 | × | 〇 |
ジム | 〇 | △ | ◎ |
山岳会 | × | 〇 | ◎ |
それぞれにメリット、デメリットありますが、長く付き合える山仲間に出会うという意味では、講習会とジムに通うの2つがおススメです。
山をやればやるほど、沢登りやマルチ、バックカントリーなど専門的になればなるほど、山岳会を考える様になってくるので、その時には近場に自分に合いそうな山岳会の門を叩いてみましょう。
登山者の半数がソロ登山者という数字も目にしましたが、仲間と登る山もワイワイ楽しいものです。
この投稿が、皆様の良き出会いの一助になれば幸いです。